都市の建設に木材は必要不可欠だ。しかし、寒風の下で樹木を伐採するのは退屈で骨の折れる仕事だ。多くの人は生きるために仕方なく従事したが、ユージーンは違った。彼は心からこの仕事を楽しんでいた。
強靭な体力と情熱を活かして夜明けから深夜まで働くことができた。一日の労働で十分に働けないと、イライラして怒りっぽくなる程だった。そんな彼に、周囲の人々は辛い仕事を喜んで譲った。この奇妙な気質は、どうやら昔の経験と関係があるようだ。
戦いでもユージーンは同様の熱意に満ちている。斧を手に持つ彼を見た者は、その豪胆さに驚きを隠せない。
建設を急ぐ街はどこもユージーンを歓迎した。彼はほとんどの時間を仕事に没頭し、真面目で揉め事を起こさず、仕事が休みの時に軽く飲むくらいだからだ。彼が起こした面倒事と言えば、斧の消耗が激しすぎて職人たちが困ってしまったことぐらいである。
しかし、多くの人が戸惑うのは彼が斧にだけ執着し、蒸気機関のような便利な工具に全く興味を示さないことだ。特に飲み仲間のスミスが作った、丈夫で耐久性に優れる斧を気に入っていた。
その昔、ユージーンは予期せぬ出来事に遭遇した。何が起きたのかよく思い出せないが、それ以来「赤い悪魔」が周囲を漂うのが見えるようになり、恐怖を感じて気が狂いかけた。やがて、当時の市長を殴り怪我を負わせてしまう。彼は悪魔を追い払おうとしたと言ったが…そのまま街を追い出された。そして雪原を彷徨い、ついに力尽きて倒れたところを瀕死の状態で救出されたのだった。
フレンダー医師の診断によれば、ユージーンは不安定な火晶に長期間晒され、発せられるエネルギーが記憶と思考に影響し、幻覚を見ているという。しかし同時に、火晶はユージーンをより強く、凶暴に変えた。すぐには治療方法を見つけられなかったが、大量の「破壊的労働」が症状を緩和できることに気づいたという。
こうして伐採は、彼にとって秘密の処方箋になった。少なくともユージーンを完全に治す方法が見つかるまでは、伐採の仕事で症状を抑えることができた。もちろん、戦闘も一つの選択肢である。ユージーンにとって、略奪者と「赤い悪魔」に違いはないのだ。